デザインの造形

 1.形態は機能に従う 

デザインをするモノには機能があります。その機能を形のよりどころとします。

デザインの外観(造形)を考えるに当り、まずその「機能」をよく考えるのがセオリーです。扇風機が「風を作る」のは、機能の物理的な側面に過ぎません。涼を求めるのか、汗を飛ばすのか、部屋の空気を混ぜるのか、それとも蒸したブロッコリーを冷ますのか、複数の機能を持たせるのか、どこでだれがどのようなときに使うのか、よく考えることから始めます。

ユーザーがモノを求めるとき、多くはそのモノ自体ではなく、モノの機能を求めていることが多いでしょう。機能が達成されると、ユーザーはさしあたり満足します。それはモノに機能を欲求していたからにほかなりませんから。

「形態は機能に従う」は、アメリカの建築家、ルイス・サリバンの「形式は常に機能に従う:form ever follows function. 」から生まれた言葉です。それまでの建築が様式から形作られていたのに対し、普及しだした鉄骨の強度により様式のこだわらない建築が可能となり、建築の機能を重視することが可能になったことから生まれました。

この言葉はアーツアンドクラフツ運動の手工芸では成し得ない工業生産物のデザインに取り組む、バウハウスの機能主義に大きな影響を与えました。

バウハウスから100年経ち、PCなど機能に形が現れないモノも多く、「形態は機能に従う」は古い概念と思われがちですが、そのようなことはありません。車でも扇風機でも鍋でも鉛筆でもPCでも、機能がどんどん変化してきておりそれに伴って形・形態も変化してきているとみる方がいいと思います。

移動手段だった車が、ステイタスシンボルとしての機能を持つようになり、やがて家族で楽しむための機能や、普段の買い物や送り迎えの足としての機能、安心な生活といった機能をも取り込むものがあらわれてきました。それに従い様々な形・形態の車が存在するようになっています。

デザインは、基本的に用途の無いアートとは異なり、何がしかの用途があり機能のあるものを扱います。アートは作家自身の美意識や感性の発露であって、アートに触れる者・観る者の受け取り方は様々、アートに触れる者・観る者を何ら規制するもではありません。

デザインの主たる形のよりどころのトップとして「機能」を挙げるのはアートではないデザインの必然ともいえるでしょう。デザインされるモノはその機能を発揮させるためにユーザーに何らかの働きかけがあります。もちろん例外もあります。癒しのための絵画や、ランドマークとしての彫刻などは、機能を有していますが何の操作も働きかけも必要ありません。

デザインとアートは明確に分けられるものではないでしょうし、分ける必要もないと思います。


 2.安全・安心 

安全に使え、安心できる形にします。

外観造形が安全・安心に関する割合は大きなものがあります。倒れる、当たる、ぶつかる、切れる、刺さる、全て形に関わります。生命に関わるアクシデント(事件・事故)に直結しています。1つの「危険」が、会社を潰ぶしてしまうこともあります。それゆえ、安全・安心には常に最大限の配慮が必要になります。

よく安全・安心は当然のこととして、最後に挙げられていることが多いのですが、そのため安全・安心の造形がおざなりになってはならないとおもいます。造形要点の2番目に挙げたのは、機能の次に大事な要点だからです。

そもそも、動物はあるモノにたいして、接近(利用・取得)すべきか、回避(離れる・忌避)すべき原初から意思決定を求められていました。
接近すべきは「モノの機能」と「安全・安心」であり、回避すべきは「危険・心配」です。

動物にとって、もちろん人間にとっても、「安全・安心」はプロフィット(利益・得られるモノ)と同等以上に重要だったのです。デザインも同じです。どんなに機能が良くて便益を得られるモノでも危険であれば使い物になりません。

「危険・心配」と表記することは、言葉で簡単にできますが、配慮する事柄は多岐にわたります。また危険回避に困難をともない、コストアップや開発期間の長期化にもつながることもあります。しかし危険回避は解決しなければならない課題でしょう。

言葉で避けるだけではだめだと思います。例えば「対象年齢3歳以上」「お子様が触らないところに置いてください」「触ると危険です」「ケガにはご注意ください」などの言葉、もちろん必要な注意書きですが、これらの注意書きに任せただけの、責任逃れはできないと思います。1歳や2歳の幼児が触れるモノは、1歳や2歳の幼児が触っても、子供が触れても、危険であってはならないのです。

STマークSGマークを取得したからと言って、安全だとは限りません。実際STマークやSGマークが付けられた製品で死亡事故が発生しています。
赤ちゃんのおしゃぶりの紐が切れて、直径20mmの球がとれ、その球で喉を詰め亡くなることがあってはならないのです。自分の使っていたおしゃぶりを30年後に子に使わせたとしても、紐が切れたりして球が外れてはならないのです。

板前が使う包丁に「対象年齢3歳以上」「お子様が触らないところにおいてください」「触ると危険です」「ケガにはご注意ください」等の注意書きは不要です。これはユーザーも使われる場も機能も明確に異なるからです。

かといって、包丁は切れるものだと何の配慮もなく開き直るのではなく、ユーザーの手に渡るまでの扱いや、梱包は重要ですし、またユーザーに刃物であることの再認識を促すことは必要だと思います。


 3.ユーザビリティ 

使いやすくします。

使いにくいモノは、結局使われなくなります。使い難くて使われなくなったモノは良いデザインとは言えません。よく使われてこそいいデザインです。

意図があって複雑にしたものは別として、一般的に使用に際して複雑な操作が必要なのは良くないデザインだと思います。

不必要な機能まであるのは、使い難いだけでなくコストアップにもなり、やはり良くないデザインです。

複雑な機能や、滅多に使わない機能をフタやカバーで隠したり、機器の背面に置いたりして、普段は簡単に操作できるようにする手法はよく見られますが、本当に普段使わないのか、背面にあって操作がしやすいかなど、よくよく考える必要があります。

よくやる失敗が、正面からの見た目はすっきりしていりのですが、使用時にはフタを開けたり、横向きにする必要があったりと、使い難くなってしまっているデザインです。

カメラのデザインで、男性デザイナーが試作機を使ってとことん操作性を検討し、ユーザビリティの高い製品になったと思って市場に出した商品が、女性から多くのクレームが来たことがありました。
デザイナーの男性の指が長くその長い指で操作性を検討しただけで終わってしまい、女性ユーザーのことを意識していなかったことが原因でした。

アクセシビリティ、ユニバーサルデザイン、デザインフォーオール、ヒューマンセンタードデザイン、ユーザーオリエンティッドデザインもユーザビリティと同じ内容を含んでいます。アフォーダンスはユーザビリティのためにあります。

シンプルであること、すっきりしていることと、使いやすさは背反する場合がありますが、バランスを見ながら、ベストの形を考えることが大切だと思います。


 4.立体で捉える 

モノを立体的に捉え考えます。

プロダクトデザインで扱うモノの多くは立体物です。従って、正面の形だけでなく、背面・左右両面・上下両面の6面、さらに斜め、360度全ての方向から見た形を捉えねばなりません。

正面から見た形はきれいなのに、背面から見たところは、あばら家のような製品も見受けられます。デザインにスキがあると、全体が良くないデザインに思えてきます。
扇風機は360度どこからも見られています。冷蔵庫の裏も店頭で店員に見せられることがあります。

底面の形も大切です。洗濯パンに納まらない洗濯機では売れません。コピー機のフットプリント(上面から垂直に見た設置範囲)が重要です。

車のエンジンルームもきれいにデザインされていると「さすが」と感じてしまいます。
アイホンは、ユーザーが直接目にしない機器の中の部品まできれいにデザインされています。雑誌などに掲載されたり、SNSで紹介されたりなどしてそのデザインに触れたとき、ユーザーは「さすが」と思ってしまします。アイホンのブランドイメージがそこでも上がります。

プロダクトデザイナーを見つけるのはそう難しいことではありません。ジーンズをはいて、「触らないでください」と書いてあるにも関わらず、サッとなでたり、ポンポンとたたいたりしている者は怪しいです。
普通は見ることが無い平面テレビの裏側や、側面をまじまじと見ている者は怪しいです。
視線を変えて、新車のハイライトの動きを見たり、膝を折って、視線を低くして見ている者はますます怪しい。
普段は使わないフタの中の操作盤のフタを開けて、操作できるかどうか試そうとしたり、折り畳み器機を折り畳んでまた組み立てたりしている者に職務質問すれば、「プロダクトデザイナーです」と答えが返ってくるに違いありません。

それほど、立体で捉えることは重要なのです。
立体的に全体をマスで捉えます。そうすることで構造や全体のバランスが見えてきます。
プロダクトは立体物であることを忘れて、正面だけを平面的に見る視点にはまっていないか、もう一度遠くから近くから、上から下から右から左からよく見るのがいいかと思います。


 5.動きと時間でみる 

動くモノは動かして、生産から廃棄まで考えて形造ります。

映像やプロジェクトマッピングなどのビジュアルデザインではなく、一般的なグラフィックデザインは静的です。
一方立体物である多くのプロダクトは使われ操作される時に、動いたり、動かされたり触られたりします。また、普段は操作しないレバーの操作や電池の交換に、フタを開けたりカバーとったりします。

可動部は永く使っていると壊れたり傷んだりしやすく、メンテナンスや修理が必要になります。
そしてやがて機能しなくなり、思い出や記念品として残しておくモノ以外は廃棄される運命にあります。

可動部だけではありません。止まっているときと動いているときの見え方は同じではありません。車は止まっているときの形や、夕焼けの光の中での見え方も重視しますが、走行中に人から見られる見え方にも神経を使います。タイヤホイールは走行中の見え方がとても大切です。

プロダクトをデザインするとき、これらの働きや動き、廃棄のされ方も含め動的に形を考える必要があります。

さらに大切なのは製造工程での“動き・時間”で、生産性にも大きく影響します。もちろん、素材や色柄形も大切なのですが、製造工程毎におけるプロダクトの動き・振舞・形が見落とされがちです。
これはプロダクトデザイナーでも、案外見逃しがちな要点です。これができていればGood Design も近いと思います。


 6.安定感・力強さ・勢い 

「安定感」「力強さ・勢い」のどちらか、またはどちらも持つ形にする。

三角形や四角形はわかりやすい安定感のある形です。
シンメトリーの形も安定しています。円柱や球もシンメトリー形で、転がりますが安定した形です。

中には蟹のシオマネキのようにアシンメトリーの動物もいますが、動物はシンメトリー形がほとんどです。
植物も花や葉は総じてシンメトリー形です。周りにじゃまになるモノがない場合は全体としてほぼシンメトリーに生育します。

安定感は「しっかりしている」「ドカッとした」「存在感がある」などとも表現されます。言いかえると、「しっかりしている」「ドカッとした」「存在感がある」ものには安定感があります。
安定感のある形は、置いて使う機器や器具・道具、家具などに向いています。

力強さ・勢いは、「動き」「スピード」「流れ」などとも表現されることもあります。
アシンメトリーの形や、鋭角を持つ形、複数の曲線 or 曲面で構成される形なども力強さや勢いが現れます。

スポーツカーは、両サイドから見ると「動き」や「スピード」を感じる形ですが、正面や背面から見るとシンメトリーで三角形のように下膨れの形で安定感があります。

もちろん例外はありますが、不安定な形、弱々しい壊れそうな形のプロダクトはあまり歓迎されません。
「安定感」「力強さ・勢い」はプロダクトデザインに必須の形ではありませんが、必然の形と言っていいでしょう。


 7.シンプル is ベスト 

シンプルに形作る。

よく聞く言葉です。
シンプルは、単純、だからわかり易い。不要なものをそぎ落とした形、不要なものを加えていない形、だから本質的な形です。だからとても強い形です。複雑な世界の中で、目立ちます、主張します、クールです。

簡単そうですが実はとても難しいものだと思います。
シンプルにしたくてもシンプルにすると機能が達成できなかったり、危険な形となったり、ユーザビリティが実現できなかったり、技術的・コスト的に無理だったりと、なかなか難しいのです。

機能をシンプルにすると使いやすくなりコストダウンや環境に優しいモノ造りにつながりますが、残念ながら形がシンプルだから使い易い・コストダウンにつながる・環境に優しいとは直ちには言い難い面があります。確かにそういう場合もありますが、コストアップにつながる方が多いように思います。

操作を簡単にするために、自動化や、ワンボタン化するにはコストがかかります。
綺麗な樹脂成型をするには、例えば樹脂製のフラットな大きな面を作るには、樹脂素材費・金型製作費・成型時間・設計コストのどれをとっても増加する方向になります。樹脂素材や金型にコストをかけないで、樹脂成型の引けを目立たなくするため、模様を印刷するなどすると印刷代が追加される上に、シンプルなデザインとは程遠いものになりかねません。

本来の機能を素直に生かすには、デザイン思考やデザイン検討を最大限に行い、製造材料を最小限に抑え、本来の機能以上の機能を持たせない事です。

バックミンスター・フラーのいう最小の材料で最大の効果を上げるには、そしてアッベの原理を活用するには、シンプルな形を考えることが近道だと思います。
「シンプル」は、使い勝手がよくなる、安全性が高い、スマートな形になる、コストダウンにつながる可能性を秘めています。

バスマットです。
ここまで、潔く赤で温泉マークだともう言うことはありません。
海外の人にはわかりにくいという話もありましたが、日本ではこれでいいのです。
シンプルです。

プロダクトデザインですが、グラフィックデザインとも言えます。


 8.整理・整頓 

減らす、揃える、合わす、整える。

整理整頓、プロダクトデザイン製品の Good Design につながる形です。グラフックデザインでは、平面であるがゆえに余白とともに重要視されるデザイン要素です。

「整理」は要不要を精査し不要なものは調整し切捨てる、あるいは減らすこと。「人員整理」の整理も同じ意味で、重要で重大なデザイン要素です。

モノの存在理由の機能ではなく、付加機能は整理の対象として考えてみることがとても大切です。得てして、他社にない機能の追加や、コストアップしないからと追加している機能などは整理の対象となることが多いと思います。

「整頓」は、整えること、揃えること、ちゃんと(きちんと)レイアウトすること、合わす(オーダーを取る)こと、エリア・アラインメントを計算にいれること。形の端々まで、なぜその形になっているのか、なぜその大きさになっているのか、どこに基点があるのか、曖昧になっていないか、部分だけを見ず全体を見て整頓するのがよいと思います。

整理・整頓は、使いやすさ、安全性、シンプル形状、コストダウンにもつながるので、形を検討するときには常に考えておくことが大切です。特に整頓はコストアップもなく、スマートに見せることができるのでとても有効です。

 9.素材、色・柄・仕上げ 

素材、色・柄・仕上げ、形は一体

素材は形を考える最初に、色・柄・仕上げは素材を決めてから考えます。モノの外観形状と素材は一体として考える必要があります。素材によって形に制限がかかり、形によって素材が決まるからです

このことはグラフィックデザインがその表現素材によって、表現内容までが様々に変わるのと似ています。

もちろん形を考えてから素材を選択する場合も、素材を考えてから形を考える場合もあります。デザインアイテムによって変わります。

板金、樹脂成型、鋳造、金属の切削、紙や木などの自然素材、繊維、セラミック、ガラス、さらに細かく素材は分類され、それぞれの持ち味があり、それぞれの長所・短所があって、できる・作れる形が異なります。

同じ表面仕上げであったとしても、重さや硬さ、温かさ冷たさ、音、が異なります。口の中に入れるモノは味も異なります。
透明素材でも触って冷たく感じるのはガラス、冷たくないのは樹脂のことが多いのです。
ポンポンとたたくと、音で材料の種類(金属 or 樹脂 or セラミックなど)、重さ、厚さなどを感じ取ることができます。展示会でのプロダクトデザイナーの振舞の理由の一つがここにあります。

素材によって様々な色・柄を与え、仕上げをすることができます。逆に素材によってはできない色や柄や仕上げもたくさんあります。
金属光沢のある仕上げとマットな仕上げ、あるいは明るい膨張色仕上げと暗い後退色仕上げでは、サイズ感だけでなく形までが違って見えます。またモノに対するイメージも全く違うモノになります。
例えば、金属光沢のある仕上げは、メカや未来感をイメージさせます。マットで柔らかそうな仕上げは、親しみや癒しを醸し出します。

素材が違うことで、生産時には同じ色であったものが、褪色スピードの違いで時間とともにバラバラの色味になることはよくあります。褪色を防げないのか、同じ素材が使えなかったのか、同じ色で仕上げる必要があったのか、検討すべきだったと思います。

資材と仕上げ、造形と表現は情報・知識と経験による見識がモノを言います。多くの素材を経験するとデザインの引き出しも多くなります。感性も研ぎ澄まされていくでしょう。素材・色・柄・仕上げもプロダクトデザインの重要造形要素・要点です。


 10.バランス 

本当の適当・好い加減を考える

完璧なデザインというのはほぼあり得ません。完璧を目指せばデザインの難しさは指数関数的に増大します。
いい言葉ではありませんが、デザインは妥協の産物です。
もっともデザインだけでなくビジネスや日常生活や人生も妥協の中にあると言えるのですが・・・
問題はどこでどのように、妥協するかです。

安全・安心も過ぎるととても使いにくいモノになったり高額になったりします。かといって重大なアクシデントは絶対防がなくてはなりません。

形やサイズ、ユーザビリティ、色柄仕上げも、コストと開発期間、所有技術・シーズなどとの兼ね合いで決まります。アウフヘーベンできればいいのですが、そう簡単にはいきません。どこでどう手を打つのか、落としどころをどこに持って行くのか考えねばなりません。ここのさじ加減が、デザインコンセプトとデザイナーのこだわりと、デザイン決定者の胸先三寸により決まります。

全体の縦横比、ポイントとなる部分の大きさや色、オーダーの取り方(形の揃え方)、など形そのもののバランスは、外観造形の中でも最も目を引き最終的な外形のデザインに大きく影響するものです。
ここがデザイナーの腕の見せ所の一つ。デザインの経験の無いも者は、自分だけの感性で判断するのではなく、いろいろな人の意見を聞いて判断するといいと思います。

黄金比白銀比フェボナッチ数列、7対3、8対2、など美しい形を作る比と言われるものがありますが、例えば黄金比だから美しいというより、美しい比率にしたら黄金比に近かったと考える方がいいと思います。実際、黄金比も白銀比も無理数を含みますから、工業的な生産にはあまり向きません。
だた、10対9、10対9,5 の比は感心しません。微妙に1対1 とは異なり曖昧なバランスで、スカッとしないからです。整理・整頓ができていないように感じます。

合理的に効率的に、最小の材料で最大の効果、値ごろ感(コストパフォーマンス)、完成度、品質・品位と考えていても、外観造形を決める期限が近づくと、合理性も効率性もいつの間にか吹っ飛んでしまいあたふたしてしまうことになりかねません。
そうしないためには、しっかりしたコンセプトを立てることと、全体を俯瞰して、バランスよくデザインを進めることです。

造形のバランスは、デザイナーのこだわりや、デザイン能力により比較的自由になるものです。可能であれば時間をとって、ラピッドプロトタイピングの立体で確認し、バランスを確かめたいものです。


 11.造形の開放 

自由に、思いのまま、のびのびと

プロダクトデザイナーがデザインするとき、上のデザインの造形要素を常に意識しているわけではありません。そんなことをすれば、凝り固まってアイデアも造形も何も出てこないと思います。

デザインの造形要点は既に習得していて、無意識の中に片づけてあります。
その上で与えられたあるいは取り組むべきテーマに邁進します。

テーマを聞いてすぐに、サーッと形やデザインが浮かんでくることもあります。これは大抵無意識の造形要点のベースの上に乗っかっています。プロのプロダクトデザイナーだからできることだと思います。

時には新しい形は無いか、いいアイデアは無いかと苦闘することがあります。
このときは無意識に造形要点の影響を受け、自ら自由な考えに制限をかけてしまっているのでしょう。そうすると創造の無限ループにはまってしまいそこから抜け出せなくなります。

そこで取る考動は、遊ぶ、気晴らしする、デザインのことは考えない。自由に過ごす。思いのまま趣味にふける。のびのびと過ごす、です。

このとき周りから見ると、仕事もせずに遊んでばかりに見えるのですが、実はそうではありません。
意識の上では自由に振舞っているように見えるのですが、無意識にデザインをぐるぐる回しているのです。
そして、何かを見たり感じたりしたことをきっかけに、「そうだ!」と気付くのです。悟りと言ってもいいかもしれません。これもプロのプロダクトデザイナーの “仕業” だと思います。守破離の「破」です。

プロダクトデザイナーでない場合も、一通りデザインの造形の要点を押さえておけば、自由に、思いのまま、のびのびと形が考えられると思います。

例外のない例外はありません。著名プロダクトデザイナーでも NG design がたくさんあります。逆にデザイナーでない者が成した Good design もたくさんあります。気負わず、自由に、思いのままに、のびのびと、たまにデザインの造形の要点を思い出して、Good design の形を生み出そうではありませんか。


「美しいこと/新しさ/わくわく感」をあえて入れない理由
① デザイン造形要素に「美しいこと/新しさ/わくわく感」を入れる場合も多いのですが1.~10.の要点を踏まえれば「美しくなり、おのずと新しくなり、わくわく感が出る」ので重複することになります。

形の端々まで、なぜその形になっているのか、なぜその大きさになっているのか、プロダクトデザインの造形要点の中で説明できれば「美しい/新しさ/わくわく感」と説明しなくても納得してもらえると思います。

②「美しい/新しさ/わくわく」という言葉を入れても具体的にどうすれば美しくなるかが示されない限り、要点とは言えない“役立たず”の文言になってしまいます。
「美しい/新しさ/わくわく」という言葉を使ってデザインが何か特別なものであるように誇示しても何の役にも立ちません。

③「デザインが良くても美しく作れないなら売れない」などと、訳の分からないデザイナーの責任逃れの言葉になってしまいかねません。
美や新しさやわくわく感もデザインも数値化が難しく、売れる売れないの理由付けがしにくいところを逆手にとってはいけないからです。


 番外  

  自然要素

  ビジブル/インビジブル


  繰り返し

  同じものの繰り返し

  大きさが変わる繰り返し

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 3-1024x768.jpg
京都駅中央口

大きな柱の下に小さな柱が4本。グラフィックデザインや建築デザインではよく見かけますが、プロダクトデザインではあまり見かけない造形手法かもしれません。
モノや使い用によっては面白いデザインになると思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です