ギャラリー 視点

<2026/2/22>

京都新町四条にあるパナソニックのデザインセンターで、プロダクトデザインの展示ありましたので行ってきました。
パナソニックのデザインセンター、以前は一階が私も時々利用したコンビニのビルで、そのコンビニのスペースを利用して開催されたものです。

 展示内容 

「Oneness Aria」「ラムダッシュ パームイン」「Panasonic Quality」「ニコボ」「エオリアアプリ」「パナソニック HX」「空気の見える化ソリューション」「noiful」「RizMo」「デザイン経営実践プロジェクト」「Vision UX」「Oneness AI」のコーナーかあり、基本とする4つのプロセス「気づく」「考える」「つくる」「伝える」を紹介しながらの展示でした。

   ラムダッシュ パームイン
「ラムダッシュ パームイン」を開発されたデザイナーの方にも話をお聞きしました。
それまでのシーバーを開発する過程で、ヘッド部と本体が一体で小型の手の中に納まる形というのが、イメージとして固まってきて、形と並行して、調査しコンセプトをねり、商品化につながったそうです。 
展示は調査やコンセプトがきちっと作られ、ISが描かれ形が現れるという標準プロセスでしたのですが、この「パームイン」の調査以前のシーバーの調査やデザインプロセスの中で既にイメージはでき上っていたとういうことで、私もまったくその通りだっただろうと感じました。
それを事業幹部の方にプレゼンし、企画部や技術部の方々を説得するために、先行していた形に追いつくように、調査しコンセプトを描いたのではないでしょうか。

デザインプロセスは、必ず 目的・テーマ → 調査 → コンセプト → アイデア → 試作・検証 → 製作  のプロセスを踏むわけではないということだと思います。

今後のパームインは、技術面の進化、機能・性能の割り切りなどでもう少し小さくなるのではないかと思います。
また、このパームインタイプが今までのシェーバーの全ての面で優れている訳ではありませんので、別の形のものが現れると思います。
例えば、パームインを掌で握り込むような持ち方ではなく、親指・人差し指・中指で持って使った方が力は入れにくいのですが剃り易いのではないかと感じることから、握り込める形でなく親指・人差し指・中指で持って持ちやすい形など。これだと全体の容積も確保しやすくなります。
この形は昔よく見られた旅行のときだけに使う乾電池式シェーバーによく似た形でしょう。乾電池式シェーバーはおもちゃのような一時しのぎのものだったのですが、今作ればパームインと同性能のものが作れるのではないでしょうか。
まだまだ、シェーバーのデザインは進化すると思います。

   ニコボ
いろいろなメーカーから出てきそうな商品です。ポイントは、サブスクで成長させることができる点。本体価格をある程度抑えて、サプライで儲けるプリンタと同じ戦略ではないかと思います。

「あまりかしこくないところ(弱いロボットであるところ)が魅力」とおっしゃっていましたが、サブスクで提供するなら、会話ができ、次第に家族のような会話、語学知識やネット情報などの賢い会話でない知恵の会話、言葉少なくても深く思い遣れた高度な会話ができるようになる方がいいのではないかと思います。

それと固い台に乗っかって頭が動く仕組みなのですが、やっぱりバタバタした手足でも這うような形でももうすこしぬいぐるみの雰囲気をそのままに動かせなかったのでしょうか。それも惜しいと思います。

おそらく他社から会話し、台が無くて首が振れるそんな製品が出てきて、やがて「ニコボⅡ」では高度な会話をし、首がすわった赤ちゃんのように顔が向く、あるいは足をばたつかせる振動のような動きで向きを変えるようになるのではと思います。 

   noiful(ノイフル)
パナソニックの先進家電付き賃貸。家電サブスク、住居のサブスクが広まる中、当然の帰結として提供されるサブスクです。
賃貸住宅居住を考えている単身・小世帯向けのサブスクですが、今や世の中には赤ちゃん用品・育児用品サブスク、学童向けサブスク、高齢者向けサブスク、介護用品サブスク、住宅のサブスクなど何でも有りです。
その内、「一生サブスク」「生涯サブスク」なんて言うのも現れかねません。「賃貸丸ごとサブスク」くらいならまだしも、「サブスク人生」というのも人生「仮の宿り」とは言え何か味気ない気がします。私は「生涯サブスク」のサービスがあっても絶対利用しないと思います。

   デザイン経営実践プロジェクト
デザインが経営にどのように参画すべきか、できるかの取り組み。
デザインのテリトリーがどんどん広がり、既に事業推進や企業の経営まで入り込んでいます。そのような状況を示すプレゼンでした。

キーセンテンスとそのバックボーンたる情報、内容はおそらく7・8割は的を得ていてエビデンスもしっかりしているのでしょうけど、パッと見ることができる量ではありません。必要とする部門部署・人が、関連すると思うところのテーマを選択し、細かな内容を読み込むという使い方をされるのでしょう。
プロダクトデザインの領域であるとは言え、私にはできない仕事です。量的にも質的にもですが、あまりワクワクしないというか、面倒、飽きるなどの理由で成し遂げられないでしょう。組織的にやるにしてもどこまで関われる疑問です。
しかし、そうも言っていられない重要な課題・ミッションであるとも思いました。
他の大手デザイン組織では取り組んでいるのか、取り組んでいるとしたらどのようにしているのか知りたいものです。
中小企業のデザイン組織、中小企業と連携するデザイン事務所にも求められる業務だと思います。

   デザOneness AI
AIの活用についてお聞きしました。
主な活用分野は情報収集・調査とメディアデザイン・プレゼンだそうで、特にコンセプトボードやプレゼン用ビジュアルにはとても重宝されているようです。
動画なども外注から内製メインに変わり、意図通りのものを早く安く作ることができるようになったとおっしゃっていました。

造形の最初の段階のIS(イメージスケッチ、アイデアスケッチ)などは、一部方は最初から3D、AIなどコンピュータを使って作成されるようですが、手で考え頭を働かす習慣から70年80年前と同様、紙にポンチ絵を描かれることが多いようです。きっとその方が数百億個のマイクロチップと1000兆個のスイッチを持つ生体コンピュータが活性化し、クリエイティブなアイデアが効率よく創出できるからでしょう。
出てきたアイデアは、AIを使って表現されることも多く、出てきたビジュアルを選択・修正、やり直しすることでプレゼンやデレクションの効率、量・質を上げることが成されているようです。まだまだプロダクトデザインにとってISは鉄板作業と思われます。

使われているAIは、おそらく有料のものをカスタマイズしたもので、性能・機能・セキュリティなどの面で特化したものでしょうから、我々も含む中小デザイン部門やデザイン事務所では、そっくり真似ることはできませんから、アプリ内臓AIなども含め、AI運用の仕組みや活用方法を工夫し、AI利用を進めていくべきだと思います。

 雑感 

会場にはPanasonicの方の他に、いかにもプロダクトデザイナーらしき目つき風体の人たちが、食い入るように展示に目をやっていました。おそらく同業他社のデザイナーでしょう、一目でそれとわかります。

この展示会の目的は、やはりPanasonic designのアピールでしょう。半ば人集め、半ばPanasonicのブランド構築の一環、そしてもう一つは、社内に向けた存在感のアピールではないかと思います。
それにしても、デザインプロセスを展示用に用意・整理した形とは言え公開するのは、さすがPanasonicだと思いました。同業他社大手でも、これだけ充実した内容で展示できるところはないのではないかと思います。

大阪の門真と滋賀県にあったデザインセンターが、京都に集結したのは、以下のような理由によるものと推測します。
① デザインセンターあるいはデザイナーの結束・協働・交流がしやすい
② 大阪と滋賀の拠点の中間に位置し、交通機関の利用も至便
③ 企画・経営・技術・開発部門から離れて、雑念を払ってデザインに集中しやすい
③ 歴史ある文化都市であり先端都市でもある京都ならではの、文化や美意識、価値観、空気・時間を感じられる
④ 大学などとの協創、多様な人材との交流がやりやすい
⑤ 「京都」ブランドでグローバルに情報発信・アピールでき、優秀な人材・提携先を見つけやすくなる

このことは中小のデザイン事務所、あるいは中小企業の中のデザイン部門でも同様のことが求められていることを示していると思います。
① 個人・単一組織で動くより、他社デザイン関連部門、デザイン事務所、外部デザイナーなどとの結束・協働・交流がGoodDesignを生み出す
② ネットでの情報交換やデザインプロセスにはやはり限界がある。会って話ができれば越したことはない
③ 京都だからいいというのではなく、ロケーションは大切。それが東京の真ん中であっても、四国の田舎であっても、長野の山奥であってもいい
④ 自分と違った環境やストーリーを持つ人からは、新しい視点や考え方を得ることができる
⑤「デザインをやっている」「クリエイティブなことをやっている」こと自体がアピールポイントになり、デザインを元にしたブランド化も夢ではない

よく勘違いするのが、「大手はデザイナーの数も多く、何でもデザインしているので、デザインの質も量もスゴイ!  中小には勝つことができない。」という思い込み。
大手のデザインは対象とするカテゴリーが、一般に目が付く商品だけでなく、産業用や社内用など意外と多いのではないかと思います。
そのため、デザイナーが数百人単位でいたとしても、1機種1~5名、主力商品でない場合は十数機種を1~2名で担当することもよくあると思います。
また、製品になり世の中に出るまでの関門、例えば部内の承認、企画部や技術部・営業部との調整、事業責任者の承認など多くあります。
様々なバックボーンがあるとはいえ、それが余分な脂肪のように身にまとわりついて軽快に動きにくいという面もありそうです。

中小企業のデザインは、より経営陣や企画・技術・営業との距離が近く、情報共有・意思疎通も容易で、デザイン決定・意思決定のスピードを速くすることが可能です。
同じカテゴリー内でデザインを競うのであれば、中小企業のデザイン担当も大手の1部門と同等と考えられ、やり方次第で対等に勝負が可能だと思います。

 おみやげ 

Technicsのレコードプレーヤー SL-1200GLD の1/10スケール(巾48mm、奥行37mm、高さ18mm:突起部除く)のプラモデル。本体は黒にゴールドのポイントカラー、ターンテーブルにはゴールドとシルバーの「Technics」の文字が大きく描かれている。トーンアームはゴールド。カバーは透明。
Technics レコードプレーヤー SL-1200GLD 1/10スケールモデル
直径73mmのシルバーのガチャボール。中央の割れ目を、黒地に白で「Technics」と大きく書かれたシュリンクフィルムの帯が覆っている。
ガチャボールの中身を取り出したところ。説明書2枚とTechnicsのレコードプレーヤーの1/10スケールのプラモ。本体、カバー、トーンアームが別部品になっている。

今回のPanasonic展の見学でおみやげを頂きました。
レコードプレイヤー SL-1200GLD の1/10スケールモデル
精緻でかわいいのですが、どこにおいて飾ればいいのか、置き場がありません  (;_;)


これはアートだ、アップサイクルなんかじゃない。マルセル・デュシャンの「泉」以上の衝撃!
ゴミをアートとして展示することは多いのですが、これはゴミをアートにしています。そこがスゴイ!

¥50,000、将来20年か30年先に美術館、博物館で展示されると考えると「お宝」です。決して高くはありません。今でもデパートのディスプレイや公共施設での展示物として使えそうです。
「人生の記憶」「生活の残渣」「未来への遺産」「AIの真逆の真実」とでも名付けたい作品です。

みやこめっせで開催されていた「第5回京都インターナショナル・ギフト・ショー2024」で、最も「これは何?」と度肝を抜かれたのが「総合地球環境学研究所」のアップサイクルの展示の中の「ゴミでできた冊子」
これはアップサイクルとは呼ばないのでは、木くずを削って彫刻作品を作ったときもアップサイクルとは呼ばないのと同じだと思います。

AIはこれを作れないでしょうし、アートとして評価もできないでしょう、今もこれからも。AIには「人生」も「生活」も無いからだと思います。


 落花胡蝶蘭 

花が咲き終わり落ちた胡蝶蘭。ちょっとシュールです。
花だけでなく鉢もけっこう主張していますが、伊勢海老のヒゲのような花茎が印象的。
このまま水やりするときっとまた咲き始めると思います。
《at 京都市立芸術大学》


 虫食い葉っぱ 

丸い虫食いあとが6か所

ここまできれいに食ってくれると「虫食い葉」として残しておきたくなります。

なんの役にもたちそうにありませんが、「この点(面白いと思ったところ)」がいつか「他の点(デザインやアイデアなど何か)」と繋がることもあるかもしれません。


 独 樹   2025/5/4

青い空に白い雲が1つ。芝生のこんもり膨らんだ小さな丘の頂点に大きなおそらく楠木が1本立っている。その下には木の長椅子・テーブルが2つ、木の箱?が1つある。周りには雑木が茂っている。
津山グリーンヒルズ 独樹

岡山県津山市のグリーヒルズ津山のリージョンセンターの北側。5月、きれいで象徴的でした。地方は広くて気持ちいい。

テーブル付きの椅子と物入れの箱を無くし、木のベンチを1つ置いて、「語らいの樹」とか「幸せの樹」とかの名前を付けSNSで発信すれば、奈義町の現代美術館とあわせてカップルが訪れる映えポイントになるのは間違いないと思いました。

グリーンヒルズのオレンジジャケット作業員
津山観光WEB


 Gallery HILLGATE 裏庭 

剪定された樹の下に、白い大理石(?)製のフードの中の顔のないスターウォーズのオビ=ワン・ケノービのような人物像があり、カーテンのかかった窓があるダークブルーのビルに囲まれた空間。 人物像の高さは5~60cm、その像と一体の大理石の人物像より高い四角い台に載っている。 写真に写っている窓は6つ。
Gallery Hillgate Backyard

ちょっと違和感のある剪定された樹と、フードの奥に顔のないスターウォーズのオビ=ワン・ケノービのような人物像の、ビルに囲まれた空間。
他の展示作品に面白いと思ったもの、参考になると思ったものがありました。

Gallery HILLAGTE


 桜 枝切株 藤 梅 

今年は見頃の時期に花見ができました。
桜の花をデザインのモチーフにすることもあるので、アップで撮っていると、枝切跡が目につき、そして切株に目が移り、地面を見ると藤の根がまるでナスカの地上絵のように縦横に走っています。意味不明な根の張り方、どのような理屈でそうなっているのか誰か教えてくれないかな ー ?
最後は、花に緑色の軸が無いので梅だと思います。


奈良町を散策。感じるところがあって撮っただけで、撮ったときには目的も用途も考えていいませんでした。ただ、最後の方では「壁」というテーマになるなと思うようになりました。

左上から 土壁/土塀/線路わき/石垣/積み上げられた木材/薪/トタン/黒壁に木/緑/キュウリ/コンクリートの壁/板壁/黒と木地の板壁


京セラ美術館に行ったついでに平安神宮に行ってきました。こんなふうに隠されるとついつい入りたくなります。これは額縁効果、それとも節穴効果

お参りのための入り口、工事用膜で四角く囲われ、階段の奥に朱塗りの柱とさらに奥に暖簾のような白い垂れ幕が見える。
耐震・塗替え工事中の平安神宮 大極殿
萱簾で四角く囲われ、南面に開けられた四角い窓から見える橘の木
右近の橘の立札

これも額縁効果 or 節穴効果。いつもなら特に見はしないのですが、今回は覗いてしまいました。そこで見つけたのが、立札の墨字。墨に入っている膠が耐水性のものだったからでしょうか、それとも油煙墨だったからでしょうか? これはまだ3~40年前のものだと思いますが、1000年も1500年も前の墨書がいい状態で残っているのは墨の力でしょうね、たぶん。

屋根付きの木の将棋の駒のような形の立札に墨で「右近の橘 平安時代以降・・・ 神の香ぞする 古今集」の文字。
右近の橘の立札
立札の板が長年の風雨で劣化し痩せているが、そこに墨で書かれた文字は、墨で守られ痩せることなく板から浮き出ている。墨に入っている膠が耐水性のものだったからでしょうか、それとも油煙墨だったから?
浮き出た墨書

洋紙にボールペンやサインペンで書いたものがどれだけの年月に耐えうるのでしょうか。
DVDやBD、USBメモリに記録されたものは10年でも危ういでしょう。記録メディアの多様化は喜ばしいですが、寿命が短い多様化では心もとないと思います。
最低でも長寿者の寿命+α、120年ぐらいは欲しいところです。

額殿の前の10本ほどの竹の柱に渡された8本の紐に括りつけられたおみくじ。他の場所にもあるので、一体全体いくつの占いがあるのだろう。何千何万とありそう。
万念万願

括りつけられたおみくじ。他の場所にもあるので、いったいいくつの願いや祈りがあるのでしょう、何千何万とありそう。

大極殿前の広場から東を望んだところ。曇り空ですが東山をバックに、右に結婚式を行う神楽殿、左に蒼龍楼(四神獣である蒼龍を祀る建物)の屋根の緑と柱の朱色。朱色の補色の木々の緑が映えている。
額殿から東を望む

工事中も工事の様子を見せることで、工事をしていないとき以上に人を呼び込むことは可能だと思います。例えば、沖縄の首里城、姫路の姫路城、イタリアのノートルダム大聖堂など。マイナスをプラスに、問題をチャンスにするようポジティブに考えることは大切です。今回の平安神宮の場合は、期間が短い、小規模、特に見せるほどの工事ではない、何もしなくても人は来るなどの理由で、特に工事を見せることはしなかったのだと思います。

大きな門ですが、羅生門はもっと大きかったんだろうな、色はこの門と同じようで、と想像します。 

グリーンヒルズのオレンジジャケット作業員


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